近年、会社を設立しても「人を雇わず、外注で事業を回す」スタイルが増えています。
一人法人やフリーランスでも、大きな売上を上げている人の多くは、必要なときだけ外部のプロを活用しています。
この記事では、
- 外注のメリット・デメリット
- 外注費の経費計上のポイントと税務注意点
- 外注費の相場感
- 成功させるためのコツ
- 実際の外注活用事例
まで、経営者目線で深掘りして解説します。
1. 人を雇わず外注するとは?
● 外注=業務委託契約
外注とは、自社の業務を社外の人や企業に依頼することです。正社員のような雇用契約ではなく、業務委託契約や請負契約を結び、一定の業務を任せます。
例えばこんな業務が外注可能です。
- Webサイト制作やデザイン
- 動画編集
- 記事ライティング
- 経理や事務作業
- 広告運用やSNS運用
- 商品撮影やパッケージデザイン
- カスタマーサポート
● 一人法人やフリーランスに向く理由
- 常にフルタイムの人材が必要なわけではない
- 専門スキルを持つ人を必要なときだけ使える
- 人件費や労務管理コストを抑えられる
2. 外注のメリット
① 固定費の削減
従業員を雇うと、毎月の給与のほかに社会保険料、雇用保険、交通費、福利厚生費がかかります。
外注なら、発注した分だけの支払いでOK。
例えば月に10万円分だけデザイン業務を外注する場合、固定費ではなく変動費として扱えます。
② 即戦力をすぐ投入できる
採用すると教育や研修が必要ですが、外注なら最初からスキルを持った人が担当します。
特に専門性の高い業務(Web広告運用、SEO対策、動画編集など)は、経験豊富な外部プロに依頼したほうが短期間で成果が出やすいです。
③ 人材リスクの軽減
従業員が突然辞める、長期休職になると事業が止まるリスクがあります。
外注の場合、契約期間や案件ごとに人を変えられるため、長期的な人材リスクが少ないのが特徴です。
④ 経営者がコア業務に集中できる
雑務や専門外の仕事を外注することで、経営者は「売上を作る活動」や「商品開発」など本来やるべきことに時間を使えます。
3. 外注のデメリット・注意点
もちろん外注にもリスクや注意点があります。
① コストが高くなる場合がある
短期的には安くても、長期間依頼し続けると正社員より高くつくことがあります。
② 社内ノウハウが蓄積しにくい
外注先が持つ知識や技術は、自社には残りません。長期的な視点で考えると、重要業務は一部内製化も検討が必要です。
③ 品質・納期の管理が必要
外注先によって品質がバラつく可能性があります。契約前の確認や進捗管理が重要です。
④ 契約・法務面の対応
守秘義務契約(NDA)や業務委託契約を交わしておかないと、情報漏洩やトラブルの原因になります。
4. 外注費と経費計上の基本
● 外注費は経費になるのか?
事業に必要な業務を外部に委託した場合、その費用は**「外注費」や「業務委託費」**として経費計上できます。
ただし、私的利用分や事業に無関係な発注は経費にできません。
● 会計科目の例
- 外注工賃:製造、開発、デザインなどの請負作業
- 業務委託費:経理、事務、営業代行など
- 広告宣伝費:広告制作やSNS運用代行
- 原稿料:記事やコンテンツ制作
経費計上の税務注意点
- 証拠書類の保存
- 請求書、領収書、契約書、納品物(成果物)の証拠を残す
- インボイス制度対応の請求書でない場合、消費税控除が受けられない可能性あり
- 業務の必要性の証明
- 税務調査では「事業に必要だったか」が問われるため、依頼理由や発注内容を明確に残す
- 給与扱いになるリスク
- 実態が社員同様(勤務時間拘束、業務指示の細かさなど)の場合、「給与」とみなされ源泉徴収義務が発生する
- 海外外注の場合の税務
- 国外への送金では源泉徴収や消費税の取り扱いが異なるため、税理士に事前確認必須
5. 外注費の相場目安
業務内容によって外注費は大きく変わります。以下はあくまで目安です。
業務内容 | 相場 |
---|---|
Webデザイン(LP) | 5〜20万円 |
Webサイト制作 | 10〜50万円 |
動画編集 | 5,000〜50,000円/本 |
SNS運用代行 | 5〜30万円/月 |
ライティング | 1〜5円/文字 |
経理代行 | 2〜10万円/月 |
クラウドソーシングを使うと安く発注できますが、品質は外注先によって差があります。
6. 実際の外注活用事例
事例①:ECサイト運営者の場合
- 状況:月商300万円のアパレルECを一人で運営
- 外注内容:商品撮影(1商品5カット 3,000円)、SNS運用代行(月5万円)、SEO記事ライティング(月3万円)
- 効果:経営者は仕入れ・販促に集中でき、売上が半年で1.5倍に成長
事例②:コンサルタントの場合
- 状況:一人法人で企業向け研修を提供
- 外注内容:研修資料デザイン(1本5万円)、動画編集(1本8,000円)、事務サポート(時給1,500円)
- 効果:講義準備の時間が半減し、新規顧客対応に時間を割けるように
事例③:YouTuberの場合
- 状況:登録者10万人の個人チャンネル
- 外注内容:動画編集(月10万円)、サムネイル制作(1枚2,000円)、字幕入れ(1本3,000円)
- 効果:週3本投稿を維持しながら、企画や撮影に専念でき再生数アップ
7. 外注活用を成功させる5つのコツ
- 発注内容を明確にする
「何を・いつまでに・どのクオリティで」やってほしいのか仕様書で伝える - 相場調査と複数見積もり
相場感を知らないまま依頼すると割高になる - 契約書とNDAの締結
納期・報酬・支払い条件・守秘義務を明記 - 進捗管理とフィードバック
週1回の進捗共有で品質を安定化 - 長期的な信頼関係を作る
優秀な外注先は手放さないよう関係を維持
8. まとめ
人を雇わず外注で事業を回すことは、固定費を抑えつつ事業拡大できる有効な戦略です。
ただし、丸投げではなく、税務面のルールや契約、進捗管理を理解することが成功の鍵。
外注を上手に活用すれば、
- 自分はコア業務に集中できる
- 事業のスピードが上がる
- リスクを抑えて売上アップを狙える
という、小さく強い経営が可能になります。
まずは小規模な案件から試して、信頼できる外注先リストを作ることから始めてみてください。
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