フリーランスエンジニアとして働くとき、「どこで働くか」は手取り額に大きな差をもたらします。同じ月単価100万円でも、日本で働くのか、ドバイで働くのか、シンガポールで働くのかによって、実際に手元に残る金額がまったく変わってきます。
この記事では、フリーランスエンジニアの国内と海外の手取りを具体的な数字で比較し、海外移住を考えるエンジニアが知っておくべきポイントを整理します。ぼく自身もドバイへの移住を将来の選択肢として真剣に考えているので、リアルな視点でまとめます。
日本のフリーランスエンジニアの手取りの実態
まず日本でフリーランスエンジニアとして働く場合の手取りを確認しておきましょう。
日本のフリーランスエンジニアの平均月単価は70〜76万円前後とされています。しかし売上がそのまま手取りになるわけではありません。以下の税金・保険料を自分で支払う必要があります。
- 所得税:累進課税(5〜45%)
- 住民税:約10%
- 国民健康保険:所得に応じて変動(会社員の約2倍)
- 国民年金:月約1.7万円(全額自己負担)
- 個人事業税:年290万円超の所得に対して5%
- 消費税:課税売上1,000万円超で納税義務
これらをまとめると、年収ベースでの手取り率はおおよそ以下のようになります。
| 年収(売上) | 手取り目安 | 手取り率 |
|---|---|---|
| 500万円 | 約400万円 | 約80% |
| 800万円 | 約580万円 | 約73% |
| 1,000万円 | 約680万円 | 約68% |
| 1,200万円 | 約780万円 | 約65% |
収入が上がるほど税率が上がる累進課税の影響で、高収入になるほど手取り率が下がっていきます。月単価100万円(年収1,200万円)でも手取りは800万円を下回るのが日本の現実です。
ドバイ(UAE)で働く場合の手取り
フリーランスエンジニアの海外移住先として最も注目されているのがドバイです。UAE(アラブ首長国連邦)は個人所得税ゼロ・消費税5%という低税率の国として知られています。
ドバイの税制の基本
- 個人所得税:0%(所得税なし)
- 消費税(VAT):5%
- 法人税:2023年から9%(フリーゾーン企業は条件付きで0%の場合あり)
- 住民税・地方税:なし
つまりドバイに移住して日本のクライアントからリモートで仕事を受ける場合、理論上は所得税ゼロで働くことができます。
日本との手取り比較(年収1,200万円の場合)
| 項目 | 日本 | ドバイ |
|---|---|---|
| 年収(売上) | 1,200万円 | 1,200万円 |
| 所得税 | 約180万円 | 0円 |
| 住民税 | 約120万円 | 0円 |
| 社会保険(国保・年金) | 約120万円 | 0円(任意) |
| 手取り目安 | 約780万円 | 約1,100万円以上 |
同じ年収でも手取りが300万円以上変わる計算です。ただしドバイに移住するためには居住実態を作る必要があり、家賃・生活費も日本より高い点は考慮が必要です。
ドバイ移住で注意すべき点
- 日本の非居住者になる必要がある:1年の半分以上(183日超)を日本国外で過ごし、住民票を抜く必要がある
- 生活費が高い:ドバイの家賃・食費・交通費は東京以上のケースも多い
- ビザが必要:フリーランスビザ(フリーランスパーミット)の取得が必要で費用がかかる
- 日本の社会保険がなくなる:国民健康保険・年金は自己判断で対応が必要
シンガポールで働く場合の手取り
ドバイと並んでエンジニアに人気の移住先がシンガポールです。ドバイほど税率は低くありませんが、日本と比べると大幅に有利な税制です。
シンガポールの税制の基本
- 個人所得税:累進課税だが最高税率24%(日本の最高45%より大幅に低い)
- 住民税(地方税):なし
- 消費税(GST):9%
- CPF(年金):外国人労働者は原則加入不要
日本とシンガポールの手取り比較
月収40万円の場合で比較すると、日本では手取り約28〜30万円になるのに対して、シンガポールでは約35〜37万円になると試算されています。同じ収入でも月5〜7万円、年間60〜84万円の差が生まれます。
| 項目 | 日本 | シンガポール |
|---|---|---|
| 所得税最高税率 | 45% | 24% |
| 住民税 | 約10% | なし |
| 社会保険 | 全額自己負担 | 外国人は原則不要 |
| 生活費水準 | 東京並み | 東京以上(家賃高め) |
3か国の比較まとめ
| 項目 | 日本 | ドバイ | シンガポール |
|---|---|---|---|
| 所得税 | 最高45% | 0% | 最高24% |
| 住民税 | 約10% | なし | なし |
| 手取り率(年収1,200万) | 約65% | 約90%以上 | 約75〜80% |
| 生活費 | 中程度 | 高め | 高め |
| 日本語環境 | ◎ | △ | ○ |
| 移住のしやすさ | - | ○(フリーランスビザあり) | △(EP取得が必要) |
海外移住で手取りを増やすために必要な条件
海外移住で税メリットを得るには、いくつかの条件を満たす必要があります。
日本の非居住者になること
日本の居住者のままでは、たとえ海外で働いていても日本の税法が適用されます。1年間の半分以上(183日超)を海外で過ごし、住民票を抜いて非居住者になることが大前提です。
リモートワーク案件を確保すること
海外に住みながら日本のクライアントからリモートで仕事を受けるのが最もシンプルな形です。クラウドエンジニアはリモート案件が多く、この形態に向いている職種です。
現地の生活コストを把握すること
ドバイもシンガポールも家賃が高く、日本の地方都市と比べると生活費が高くなることが多いです。税メリットだけで判断せず、生活コストを差し引いた実質的な手取りを計算することが重要です。
ぼくがドバイを選択肢に入れている理由
ぼく自身は将来的にドバイへの移住を真剣に考えています。理由はシンプルで、AWSなどのクラウドエンジニアリングはフルリモートで仕事ができる職種だからです。
日本で年収1,000万円を稼いでも手取りは680万円程度。同じ仕事をドバイでやれば手取りは900万円を超える可能性があります。この差は積み重なれば将来の資産形成に大きな影響を与えます。
もちろん家族の同意・生活環境の変化・日本とのつながりをどう保つかなど、お金以外の要素も重要です。ただ選択肢として持っておくこと自体が、エンジニアとしてのキャリア設計の幅を広げると考えています。
まとめ
国内外のフリーランスエンジニアの手取り比較をまとめます。
- 日本は年収1,200万円でも手取りは約780万円(手取り率約65%)
- ドバイは所得税ゼロで手取り率90%以上も可能
- シンガポールは日本より有利だが生活費が高め
- 海外移住で税メリットを得るには非居住者になる必要がある
- リモート案件が多いクラウドエンジニアは海外移住と相性が良い
フリーランスエンジニアにとって「どこで働くか」は収入に直結する重要な選択です。スキルを磨きながら、働く場所の選択肢を広げていくことが、これからのエンジニアキャリアの鍵になると感じています。
※本記事の税額はあくまで目安です。実際の税務については専門家にご相談ください。

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